Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident


Draft document: Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident
Submitted by 林 衛, Univ. of TOYAMA
Commenting as an individual

本間俊充委員が政府の原子力規制庁上席原子力防災専門官である事実に加え,甲斐倫明委員は大分県立看護科学大学教授であるとともに,福島原発震災の被災者たち原告が被告日本政府と東京電力を訴えた裁判で,被告側証人たちと連名で被災者の主張に反対する意見書を提出している事実がある。

日本から改訂にかかわる委員は二人とも,日本政府と立場をともにしていることになる。多様な利害関係者の協働をめざすNGOであるICRPの活動目的からみても,今回の勧告改訂作業が日本政府と立場をともにする委員からもたらされる情報をふまえて実施されている点は,少なくとも勧告文中に明記され,共有されるべきである。

上記裁判において,佐々木康人元ICRP主委員会委員が,その肩書きを経歴に示した上で,政府側証人として証言している。酒井一夫委員も同裁判の証言者である。被告側意見書では,佐々木元委員が1番目,甲斐委員が4番目,酒井委員が14番目の署名者となっている。この意見書が提出あるいは引用された裁判において,被告日本政府と東京電力は敗訴を続けているが,それら事実は勧告改訂案の本文にも附属書にも記されていない。

委員の立ち位置を明記するにあたり,これら事実と勧告との関係が検討され,その検討内容や検討結果も記録されるべきである。ICRP勧告や委員の性質を知ることは,勧告文章の読者や活用者にとって重要だからである。


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